工事現場で働く職人さんは、通常、作業のときに何をつくっているか、という全体性を考えない。
逆に言えば、全体性を考えないことで、作業自体の効率は上がる。
だから、全体性と関係することを求められないのだ。
「意味を取り去らなければ、構造できない。構造できなければ、新しい意味を得ることはない。」
(森敦「意味の変容」)
では、例えばその完成物が軍事施設だったとしても、働くか?
人生において、意味との距離をどのようにとるか、は大事だ。
世の中をよくすることだけに関係していきたい、と願ったとしても、なかなかそうはいかない。
だから、そこに無頓着な人の方が生きやすいかもしれない。
結局、たどり着いたのは、いつも開いていようとすること。
いつもたくさんの問題を抱えていたとしても、未来へ向けて、空や海に向けて、開いていること。
創造性の連鎖は「意味を取り去って、構造し、新しい意味を得る」を一人の仕事の中に持ち込んで、それをリレーしていくシステムだ。
意味のない世界で構造するだけ、という機械のような仕事から脱却する。
それが目的だ。
問題がひとつ露見した。
自由を与えられたときに、自己管理できない人間の「甘え」だ。