道を曲がると、フォーマリスティックな建物が目に飛び込んできて、車を止める。伊豆の長八美術館だ。
鏝絵(こてえ)の創始者は、西伊豆の松崎町の出身だと知った。江戸末期から明治初期にかけて生きた人だ。
伊豆の長八美術館は、平成4年の完成した当時に建築雑誌で「日本中から左官職人が集まってつくった」と話題になっていたのを覚えている。ちょうどぼくが建築の勉強を始めた頃だ。建築家・石山修武らしい作品だと思う。
細やかな描写、風のような曲線、全体の中での配置のバランス・・・。何か、縁を感じずにはいられない。
写真を見ると、この厳しい顔からこの線が生まれることに率直に違和感を覚えるが、だれか知っている人に似ている気がしてならない。
過去の記憶やら、さまざまなものが突然につながって、こんなふうに親近感は生まれる。