2011年4月、水墨画家の海野次郎さんへのインタビューから。
(海)「今、宮本武蔵の本を読んでいるんだけど、武蔵は小次郎と闘った後は刀を捨てて水墨画家になったんだよね。剣術の道と水墨画の道がそのままつながったんだと思う。
自分にとって水墨画というのは、ものすごく自分が映し出されるというか、ほんと怖いくらい自分が出てしまうんだよね。
すこしでも迷いやためらいがあると、墨がべた〜と大きくにじんでいったり...そのまま自分の内部が映し出されてしまう。」
(田)「それは、面白いですね。」
(久)「日本の芸術、茶道や華道もそうですが、すべて自分と向き合うことから始まりますよね。精神修養と深く結びついているというか。それは、日本の芸術が武道の発展と結びついているからでしょうか?」
(海)「日本の芸術は、兵法者の系譜からだと思うんだよね。文人から生まれたものでは、絶対にないと思うんだ。平安時代には、中国から入ってきたものをそのまま取り入れていたのが、鎌倉から室町時代になると芸術と武術が融合されて、中国から入ってきたものが、すぐに日本化するようになった。」
子供のころ、ぼくも柔道を10年間、真剣にやった。今の空間デザインに精神修養的な要素を知らず知らずのうちに感じてしまうのは、この影響だろうか。