この業界の問題は、全体的にプライドが低い、ということに尽きるだろう。
これは日本のどの業界にもいえることかもしれないけれど。
コンペという名の下に、デザイン提案させられて、選ばれなければ全くお金が入ってこない、ということを延々と繰り返す会社がたくさん存在するのだ。
元々、どの会社も実績をHPに掲載しているのだから、研究熱心なクライアントは自分が気に入った会社を選べるはずだが、その手間をかけようとしない、つまり、あまり熱心ではないクライアントがたくさんのデザイン会社に提案をさせる傾向がある。
数百万円の仕事に、10社以上がデザインを考えて提案することもあるのだ。
決定される1社以外にとっては、ビジネス的には無駄なエネルギーが費やされることになる。
多大な無駄である。日本の国力は下がる一方だ。
そして、往々にして、決定された1社のつくるものは、平凡極まりないものだったりする。
クライアントによいものを選び取る能力がないから、というより、たくさんありすぎて分からなくなった結果、無難なものに逃げてしまうからだ。
単に、安いものに決まってしまうことも多い。その結果、長くは続かない店ができあがる。
つまり、投資も無駄になってしまうのだ。
これ以上の悪循環があるだろうか。
きっと、この業界だけの問題ではない。
一対一の関係性の大切さを、全ての人が考えてみる必要があると思う。