1999年。ベルギー。監督はダルデンヌ兄弟。
ひたすら、まっとうに生きるために職を求め続けるロゼッタ。現在の悲惨な環境から抜け出すための、必死さが全身から伝わってくる。
ついに、唯一の味方である友人を裏切って、彼の仕事を我がものにする。
「人間」を自分の殻の奥に押し込めても、生きるためには手段を選ばない。
そんな彼女のはりつめた糸がぷつんと切れた瞬間、彼女はまっすぐに死へ向かう。
そこに迷いはない。
けれど、貧乏であるがゆえに、自殺すらスムーズにはいかない。
泣き崩れた後、初めて人間としての表情を見せる彼女をラストシーンの記憶として焼き付けて、映画は終わる。
やわらかさ。
人間とは、これなのか?