友達が陽向の背負ったリュックのポケットをまさぐっている中、陽向はなすがままになって、じっと立っている。
透けたポケットの中にお菓子が見えたのだ。
友達はお菓子を取り出して、包装をやぶって勝手に自分の口へほうばってしまう。
そして、ニヤニヤしながら空の袋を陽向に向かって放る。
ほう・・・、絵に描いたようなイジメの光景だ。
陽向は平然としていたが、どのくらい状況をわかっているのか?
しばらく経ってから、陽向が「・・・ハート」とつぶやく。
お菓子にはハートのマークがついていた。
陽向に顔を近づけて、「強くなりたいか?」と訊く。
「うん」