gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 ゼロ・ダーク・サーティ

2013年。アメリカ。

オサマ・ビンラディンの殺害に至るCIAの活動の過程を描いている。

アメリカ側からの視点で描かれていることに疲労感を禁じえない。だが、例えば、同じくイスラム社会とアメリカ人との関係を描いた「ミッドナイト・エクスプレス」(1978年)などの構図と比べれば、これでもずいぶん公平になってきたと言えるのだろう。

それは、二つの映画の間に横たわる35年間で、どれだけ世界が変わったか、を表している。ぼくら日本人の世界観も大きく変化しただろう。

もはやアメリカが正義でアルカイダが悪だと本気で信じている人間は、少数派だろう。

アメリカをはじめ、先進国と呼ばれる国々は、現在も仮想の敵を必要としている。今年、日本人が半沢直樹に酔いしれたように、分かりやすい勧善懲悪は多くの人を熱狂させるのだから。

だが、熱狂しながら、そうではないところもあるはずだ、とどこかで冷めているのが現代人である。

テロリストがいなくなることはない。オサマ・ビンラディンが殺されたところで、自爆テロを選択する人間には、なんの見せしめにもならないだろう。

そういう冷めた目で見てしまったためか、主人公の女性にはほとんどなんの共感もできなかった。

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