gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

リテラル

リテラルliteral(字義通りの)という言葉は、メタフォリカルmetaphorical(隠喩的な)の反対語で、つまり、「そのまんまやんけ〜」といわれるような表現に対して評される言葉だ。

すべての分野において、と言ってもいいと思うが、とりあえず建築の設計では、メタフォリカルな表現が目指される。

例えば、創造力を想起させる空間を目的として、暗闇からの閃光を表現するとしたら、見る人の中で、閃光を創造力に変換する作用が働くことが条件となる。

それが「確かに、そういえばそうだね」となった場合が高度なメタフォリカルで、「そんなのあたりまえやん」といわれればリテラルといわれ、馬鹿にされる。

そんなより高度にメタフォリカルな変換の法則を見出すことこそ、詩としての建築を目指す設計者の骨格となる仕事であり、そのオリジナリティが空間の評価の基準となる。


もうひとつ先に論を進めると、リテラルだからこそ、その次の変換装置を仕掛けられる、という方法もある。これはまた別の機会に書くことになると思う。



だが、実際には、人間はそれぞれの中に独自の変換装置を持っていて、設計者の意図した以外のところで多様な変換が起きているに違いない。

そのような前提に立つと、リテラルか、メタフォリカルか、ということに対する設計者のこだわりは、独りよがりなものにすぎないともいえる。


このような認識は、ぼくにとってはとてもポジティブなものだ。

こだわりとは所詮、ばかばかしいものだ。だからこそ、安心してそれに集中することができる。

グリッドフレームのHPへ ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム

マテリアルスのHPへ ← 五感に働きかける店舗内装デザイン:マテリアルス