gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

メッセージ5

自分は、取替えのきかない存在か?

この問いがその人が生きていくためにどのくらい重要なものか、を知ることは難しいかもしれない。

ぼく自身は、取替えのきかない存在でありたい、と思っている。しかし、そのような認識なしでは生きていけないくらいに、ぼくにとって重要な問いであるかどうかは今のところわからない。

ただ、自分は取替えのきかない存在でありたい、という欲求がすべてに優先される、という「仮定」の上で、ぼくは人生を歩んできただけだ。

そして、すべての人がその人自身のことを取替えのきかない存在と認識して生きることを、絶対的によいこと、とみなす「仮定」のもとに、今日も生きている。

柄谷行人の「探究Ⅱ」で、「取替え不可能であること」は個人の性質(能力・属性など)とは何の関係もない、ということが書いてあるのを20代で読んだ。それ以来、ぼくは、自分のやるべきことは、携わっていく仕事の中で、すべての人が「取替えのきかない存在」であることを、どのようにしたら感じてもらえるか、を追求していくことだ、と決心した。

空間をつくる仕事が、それに最適な仕事であるかどうかは今も分からない。しかも、店舗空間という、商品やサービスがお金と「取替え可能」であることが前提となるシステムに直接関係する空間をつくる仕事が・・・。

だが、例えば、ぼくは取替えのきかない経験について考える。同じ空間にいたとしても、それぞれの人が別々の経験を「することができる」空間について。

それは、単純に言ってしまえば、空間に外部性を含みこませることでできあがるだろう。

ぼくがぼくのことを取替えのきかない存在と感じられるのは、他人と同じ空間にいても、ぼく自身の五感で感じていることを認識しているときだろう。それは、1対1で対象と向かい合っているときだ。

外部性は、それを人に強いる力を持っている。

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