gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

町の灯り

法事を終え、ほっと一息ついた。母はもっとほっとしているだろう。

日が暮れる頃になってちょっと落ち着いたら、ついさっき大勢で訪ねたばかりにもかかわらず、改めてひとりで父の墓へ行きたくなった。

以前もそうしたように、3キロの道程を走って丘の上の墓地へたどり着く。着いた頃にはもう真っ暗闇だ。周囲にはだれもいない。目を凝らして足元を見ながら、ぐねぐねと曲がった階段を上り、父の墓にたどり着く。

顔を上げると、墓石が明るく浮き上がって見える。

驚いて周囲を見回すが、照明はない。大津の町は決して大きくはなく光もまばらだが、町の灯りに向かって立つ墓をこんなにも明るく照らすのだ。

墓の前にすわって、しばらく父と一緒に町を見下ろす。空気は冷たく、ほてった体にここちよい。

ひとつの区切りがついた。家族はもうみんな大丈夫だ。

グリッドフレームのHPへ ← グリッドフレームのHPはこちらです