gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

タンザニアの新札 その2

1日、2日と経つうちに、旧札ではものを買えない場所が増えてきた。1週間の期限を待たないうちに、旧札はゴミに変わってしまうかもしれなかった。

どうにかして新札に交換しなければならない。問題は二つ。デクラレーションフォームの書換えをして、持っている旧札が銀行で替えた金であるように偽装しなければならない。もう一つは、タンザニア人がごった返す銀行で、どのようにして自分の番にたどり着くか。

まずは、デクラレーションフォームの問題。書かれている数字の後にどんな数字を書き足しても、公定レートに近い数字にはならなかった。とりあえず、できるだけ近い数字にしたが、果たしてばれることはないだろうか。

覚悟を決めて、次の日の朝、銀行へ行った。もうひとつの問題に向かい合う。早朝から数百人がならんでいる。ならんでいるとは言っても、秩序立っていない。どこが最後尾なのか、よく分からない。長い銃を持った警官が、喚き散らしながら、混乱を抑えている。

さて・・・。私は人を避けながら、その警官に近づいて行った。そして、声をかけようとした。警官は突然近づいてきた人間に驚いたのか、持っている銃を私に向かって振り上げた。私は後ずさりしながら叫んだ。「米ドルを交換したい!」

警官の硬直した顔がゆるんだ。「米ドルを交換したいのか」

そのまま、銀行の中に通された。私は10ドルを公定レートで交換し、そして、持っている旧札全部を新札に交換してもらった。デクラレーションフォームは詳しく見なかった。ひとこと叫んだだけで、すべてはうまくいった。


銀行を去るとき、人だかりはさらに増えていた。さっきの警官は、やはり喚き散らしていた。今日1日ここにいても新札を受け取れない人がたくさんいるだろう。そして、明日も早朝からここにやってくるのだろう。

そもそも今回の新札発行は、国外へ流れた旧札をすべてゴミにすることが目的だったろう。自分たちには関係のないところでタンザニア人は苦労を強いられている。

外国人の特権。同じ部族でありながら、ケニア人よりも一回りも二回りも体が小さいタンザニア人。

国とは何だろう?そこに何か問題があるとすれば、私にできることは何だろう?

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