gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 萌の朱雀

1996年。河瀬直美監督作品。

過疎の山村。鉄道の工事が途中で中止になり、村は消えていき、家族は崩れてゆく。

絶望し自殺した父親が撮った村の風景、そして、村人の顔、顔、顔・・・。そこには、都会で人の目を意識しながら生きてきた人たちとは、明らかに違う顔がある。それは、私が子供のころに九州で見た顔だ。

その顔は、私を大きく揺さぶる。おそらくはそれこそが私たちの世代が失ったものだ。顔とはこんなにも全てを表すものだったのに。私の生活の中に、このような顔があるだろうか?

この父親は何に絶望したのか。監督は、カメラのみでその問いにしっかりと答えを与えている。

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