gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

想像力について

村上龍がRVRで、震災直後、「被害を受けた人のことを考えれば、電車が動かなくて長時間並ぶことくらいどうってことない」と言いながら駅のホームで整然と並んでいる首都圏の人のインタビューコメントを「その想像力がすばらしい」と言っていた。大多数がそのように振舞うことができる日本という国を私も誇りに思う。

だが、そのような想像力を持っていない人間はいないだろう。違いは想像力の持続時間である。5分と持たない人間もいるだろうし、永遠に持続できる人もいるかもしれない。後者は聖人と呼ばれるような人に違いない。

震災から3週間以上が経って、そろそろ想像力によって、自分の欲を抑えることが難しくなっている人も増えてきているのではないだろうか。

人はどんなことでも少しずつ忘れていく。想像力も少しずつ薄れていくだろう。自分に対しても、それを止めることはできない。

薄れていく度合いは距離に比例するだろう。例えば、アフリカの子供たちが飢餓で死んでいく、という状況に対する想像力を、多くの日本人は持っていないように。(もちろん、私も含めて)

この国は、これから長期に亘って復興への歩みを続けることになる。それに耐えるためには、できる限り「想像力」を持続させ、多くの人がまるで突き動かされるように前進していこう。持続のために何をするか。それはそれぞれが考えるべき問題だろう。

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