gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

陽向を見つめながら

カフェでコーヒーを飲みながら、隣でベビーカーに座っている陽向をじっと見ている。

今朝は機嫌も上々で、のんきな顔をして、周りの見知らぬ人々を見回している。ときおり、言葉になり損ねた音を発する。何かを伝えたいように見えることもあるし、ひとりごとに見えることもある。と思えば、少し眉をひそめて、なにやら考えごとをしているように見えることもある。

誰かの顔を見つめる、ということは、めったにないことだ。遠い昔、誰かと恋愛中にはあったかもしれないが、一生に何度もないことなんじゃないだろうか。

それは、相手の自我が邪魔をするからだろう。陽向も自我が芽生えたときには、「なんだよ、気持ち悪いなあ」と見つめられることを拒否するようになるだろう。

不思議なことに、人間が直視することができないほとんど唯一のものは、人間なのだ。