友人からのありがたい誘いで、小岩の沖縄料理屋で初めて沖縄の歌手、◎ターシ(ニジュウマルターシ)のライブを聴いてきた。
先週1週間、沖縄からインターンの女の子Kちゃんがやってきた。人なつっこいKちゃんが纏う空気がとても新鮮で、スタッフ全員の心にさわやかな何かを残して、沖縄へ帰っていった。そんなことがあって、沖縄という土地の魅力に想いを馳せていたところだった。
ターシが「てぃんさぐぬ花」(ホウセンカの花)という沖縄民謡を歌う前に、彼自身についてのこんな話をしてくれた。・・・
沖縄の古いアパートに住んで、ベランダの植木鉢に水遣りも忘れて放置していると、いつの間にかピンクのホウセンカが咲いていた。きっと、鳥が種を運んでくれたんだろう。
何もしないのに、季節を問わず、ずっと花を咲かせている。
それでもずっと放置していると、養分が失われたのか、いつの間にか葉の色が薄くなって、今度は真っ白な花が咲いた。
・・・ホウセンカの花とKちゃんの姿が重なって、沖縄の自然が育む生命の強さと美しさのイメージが、厚みのある澄んだ歌声とともに喚起された。
ターシの伸びやかで、たくさんの周波数を重ね合わせたような豊かな声もまた、沖縄の自然が育んだものなのだろう。
ライブの後、「ホウセンカの花の唄が最高でした」とターシに伝えると、ちょっとがっかりした顔をしていた。ターシの渾身の曲は他にいくつもあったからだろう。それらももちろん最高でした。
でも、私はターシのエピソードと曲が喚起してくれたイメージに対して、お礼を伝えたかったのです。ありがとう。