gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2014.7

蝉の抜殻

会社への通い道で、蝉の抜殻を探しながら歩く。毎日、1個か2個は見つける。陽向は、それを怖がって触ることができない。でも、それを見つけたがる。ついさっきまで、命と不可分のものだった外皮は、命を解き放ち、抜殻となって取り残される。成虫は、抜殻…

あさがお

あさがおをしげしげと眺めるのは、小学生以来かもしれない。ぼくがピカピカの一年生だった頃、理科の授業でみんながそれぞれのあさがおを育てた。芽が出て、双葉がひろがって・・・、観察日記を書いたことを思い出す。折りたたまれた傘のような蕾が、ふんわりと…

小さきものたち

人が、小さきものたちを愛らしいと思うのは一般的なことだが、柳田国男が他の人と違うところは、小さきものたちが支えあって生きる世界を実現しようと本気で考えたことにあると思う。たとえば、祭の巨大化・壮麗化にも反対だった。祭が巨大化するのは、人々…

ユイ

オヤコという縦のつながり。そして、ユイという横のつながり。SNSは、横のつながりをどんどん拡げていっている、という実感は誰にもあるだろう。ユイによって、実現されていくさまざまな小さな力の協働。すばらしいことだと思う。ひとつだけ、気になって…

姉の誕生日

姉とは2歳離れているから、姉の誕生日はいつもぼくにとっては自分への予告という機能を持っている。「おめでとう」と電話をしながら、いつも自分に対して「ちゃんとしなきゃ」と無言のうちに語りかけている。しっかりした姉を持ったぼくは幸せ者である。 ← …

夏の匂い

夏の匂い、というとき、今匂いを嗅いでいるにもかかわらず、必ず少年時代の自分が脳裏に浮かんでいる。気がつけば、子供たちは夏休みに入っている。外にいても、部屋の中にいても、この季節はいつも匂いに充たされている。ぼくは数年前までずっと夏が嫌いだ…

新しいイメージ

7月に入社したスタッフ010が「私、やらかしたかと思いました」と切羽詰った顔で言う。塗装工の方々に、自分がイメージしていたムラのある塗装を伝えられないもどかしさの中でじりじりしながら、最終的には、イメージ通りの仕上げにおさめることができて…

pinterest

2年ほど前から、pinterestをデザインに使うようになった。実は、4年前くらいにpinterestのような写真の投稿サイトを、自分たちでつくろうとしたことがあるくらい、ぼくらは、デザインの源泉になりうるサイトを待ち望んでいた。これからもインスピレーショ…

遠くのものを近くに見る

このタイトルで書くのは2度目だ。ぼくは、遠くのものを近くに見ている、という感覚を得たとき、認識的にひとつ前進するような気がしている。腑に堕ちる、というのも、そのひとつだろう。ぼくがずっと読んできた柄谷行人の著作は、おおまかにいえば、20世…

value designing

value engineeringという言葉がある。土木・建築の用語で、設計や施工の中で、価値(value)=機能(function)/コスト(cost)を最大化する工夫を行うことをいう。アメリカ発だが、日本でも盛んで、ぼくがいたゼネコンでも毎月VE賞が発表されていたのを思い出…

ライフワーク

世界で起こっていることや考えられていることに強い関心を持ったとき、そのことと自分の行動を関連付けるためには、なにが必要なのだろう。人生にライフワークを持ちたい、と思うだけではライフワークは手に入らない。生きていく中で「これだ」と直感して、…

ミドリのおじさん

陽向がすねて、陽向しか入れないベッドの下へもぐりこみ、ずっと出てこない。「ご飯だよ〜」と言っても出てこない。そこで想像上の怪物「ミドリのおじさん」の力を借りる。「(ベッドの下の)奥の方にはミドリのおじさんがいるからね。二人で仲良くしてね。…

自己紹介

新しいHPをつくるために、スタッフの自己紹介文を集めている。自分と他人を差異化するために、もしくは、同一化するために、どのようなトピックを選ぶのか、結果を楽しみにしている。現在のHPでは、ぼくが彼らの紹介をしている。そのような紹介文を書く…

映画 ある子供

2005年。ベルギー・フランス。バックに流れる音は、いつも都会の喧騒。登場人物に対して、無関心な音の洪水。若いカップルに子供が生まれた。おめでとう、と言ってくれる人は誰もいない。夫は、貧困の中、盗みで生きてきた。知り合いといえば、その犯罪…

乃木坂

乃木坂とは、ごく小さな範囲を表す地名だ。そして、そこには、乃木神社と乃木坂駅があるだけで、他に目立つものが何かあるわけでもない。乃木神社に祀られる乃木希典の人気が乃木坂の名前を全国区に押し上げているのだろうが、その近所に住んでいる者から見…

親子

今も、親分・子分という言い方が残っているが、それは労働組織を擬似家族的にするものであるかに見える。しかし、実はその逆である。オヤとコは本来、親分と子分の意味であった。父や母は、ウミノオヤ、つまりオヤの一種である。父母をオヤと呼ぶのは、家を…

Where shall we get together ?

← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← 五感に働きかける店舗内装デザイン:マテリアルス← 未来の町並みをつくるファサードデザイン:GFファサード&サイン

通底器

「通底器」という言葉をどこかで見たことがあった。ぼくは京都で学生だった頃、自動車免許を米子で取った。合宿免許と呼ばれる制度で、2週間ほど旅館で寝泊りをして自動車学校に通うと免許が取れる、というものだった。たぶん、最も安くて早く取れる方法だ…

九十九里浜

今年も陽向と海に入った。波が激しすぎて、泳いでいる人はいない。みんな波に打たれるがままに、はしゃいでいる。そんな海水浴場だ。だからといって、浅瀬が延々と続くので、危険は少ない。陽向も果敢に波に挑むようになった。そんなときだけは顔が引き締ま…

映画 八月の鯨

1987年。アメリカ。リンゼイ・アンダーソン監督。主演が91歳のリリアン・ギッシュ。登場人物のほぼすべてが老人、という映画。海の見える丘の上の小さな家に静かに暮らす老いた姉妹の生活を描いている。女優たちの一挙手一投足に目が離せなくなってい…

3ヶ月

接骨院で先生に「ランニングやってると、大体3ヶ月毎になにか異常が起こるもんなんです」と言われる。まるで季節のようだ、と思いながら、思い返してみる。定期的とはいえないが、年に4回くらいなんらかの故障があったことを思い出す。ついでに、会社の3…

台風

相変わらずのテレビのない生活で、台風が近づいていることを知らぬまま、その日がやってきた。ただし、朝、人々が傘を持って歩いているかどうかを観察して、場合によっては、引き返して傘を持ってくる、という癖はついた。結局は他人任せだ。でも、天気のこ…

画力

ぼくの仕事の中で、絵を描くことが占める割合は大きい。こうやって、文章を書いていることと、絵を描くことが、仕事の大半を占めている。それなのに、ぼくは自分の画力について考えたことがないことに気がついた。でも、それでよいだろう。仕事での割合は大…

水俣病

熊本の出身でありながら、ぼくにとって水俣病は遠い世界の話に過ぎなかった。ぼくが熊本に住んだのは、高校時代と浪人時代の合計3年半に過ぎないが、そのときも誰かとの会話で話題に上ったことは一度もない。古い友人である金大偉さんが石牟礼道子さんのイ…

kanon

kanon(海音)という名前には、お店が波の音のように永遠に続いてほしい、というオーナーの願いが込められている。ぼくらは、シンプルだが、長く続くお店のベースになるようなしっかりとしたお店をつくることを心がけた。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン…

東武動物公園

ぼくは東武動物公園のファンだ。たとえば、こんな乗り物に対する気合いが感じられるのがたまらない。からまわりしているとすれば、なおさら。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← 五感に働きかける店舗内装デザイン:マテリアルス← 未…

石牟礼道子

弱い者に寄り添う。そちら側から世の中を見続ける。それでも、「未来はないかもしれないが、希望ならある」と言える精神の力。その言葉の重みを、しっかりと受け止めたい。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← 五感に働きかける店舗内…

映画 there will be blood

2007年。アメリカ。自分で使い果たせる以上に、金を求める欲はどこから来るのだろう?一攫千金を夢見て、金を掘る。そして、石油を掘る。掘ったら、また次を掘る。大会社が油田を大金で買いたいと言ってきても断る。自分よりも大きな存在は決して認めな…

SUN Tama Bar

このバーのオーナー、長谷川さんは、最初のインタビューで伊豆の観光地を訪れたときの話をされた。「おみやげ屋の商売根性がすごいんです」ああ、観光地へ行くとそれっていやですよね、と返そうとすると、「それがとてもよかった!」とおっしゃる。本当に人…

分かりにくいもの

分かりにくいもの、をつくりたい、という想いがある。ぼくにもよく分からないもの、を。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← 五感に働きかける店舗内装デザイン:マテリアルス← 未来の町並みをつくるファサードデザイン:GFファサード…