gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2014.3

やわらかい時間

寝る前の15分間、ベッドの上で家族3人でストレッチをすることにした。4歳の陽向も、ぼくらの格好をまねて、「1,2,3,4」と体を曲げる。一日の終わりの、やわらかい時間。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← 五感に働きかけ…

走れない

ここ2週間ほど、満足に走れない。階段を降りるのがぎこちない。太ももに力が入らないのだ。それで、昨年、弊社が施工した千歳烏山の「健康・スポーツ接骨院」の杉田先生に診ていただいた。どうやら、日頃のストレッチが十分でないために、体が硬くなってい…

陽向を抱くと体のぬくもりを感じる。まさにこれから長い人生を生きようとする体から伝わってくる熱は、ぼくに伝わって、ぼくの力に変わる。ぼくは父親として陽向を守る立場だが、場合によっては、ぼくが陽向に力を与える以上に、陽向から力を与えられている…

映画 BiUTIFUL

2010年。メキシコ。ハビエル・バルデム主演。余命2ヶ月と宣告されたウスバル。彼は生活のために裏社会で生きており、妻との離婚後、二人の幼い子供を育てている。セネガルや中国からの不法滞在者に仕事を斡旋するのが彼の仕事だ。彼はピンハネ呼ばわり…

変化

「今年は変化の年です!」とWEB制作会社のKさんは明るく元気におっしゃる。その勢いに乗って、グリッドフレームも変わっていこうと、新しい試みを始めている。変化することができるのは、揺るがない軸があるからだ。そろそろ変化してもいい頃ではないか…

言葉の強度

ある人から、ぼくが書く文章は、「強い」という指摘を受けた。別の人からは、「排除」されているように感じる、と言われた。いずれも私よりも10歳以上若い世代の人たちだ。ぼくも気づいてはいたけれど、はっきり言われて、初めて問題として捉えられるから不…

リュック

カバンをリュックに変えた。いつも走ることができるように、と考えたのと、流行に乗っかったのと、両方だ。流行とは、不思議だ。以前は、恰好悪くてありえない、と感じていたものが、いつのまにか恰好よく見えている自分に気づく。ぼくはそんな感覚とは、で…

距離

ある小説を好きという人は、実は小説の中に入り込むことなく、自分を安全地帯において、遠くの風景を眺めるが如く、それを読んだ人だったりする。そして、その小説を嫌いという人は、小説の中に入り込んでしまい、そこに描かれる世界を自分の世界のように体…

情けない週末

焦燥感に駆られ、無為に時を過ごしてしまったかのように思われてしまう週末。ぼくは、それが思い過ごしだということを知っている。生きる時間に、密度など実際には存在しない。どの現在も、過去がもたらし、未来の材料となることに変わりはない。もし、その…

ポエトリー アグネスの詩

2010年。韓国。イ・チャンドン監督。一人の女子中学生アグネスが橋の上から川へ身を投げた。初老の女性ミジャは、娘から預かって育てている男子中学生チョンウクの遊び仲間6人グループが数ヶ月間に亘って彼女を輪姦していたことを、グループの他の親た…

町を巡る

マラソンで、日本の町を巡ろう、と妻が提案してきた。ぼくは大賛成だ。その土地の歴史を知り、今を感じることで、ぼくらにできることを見いだそう、と。熊本の八代でサロン&カフェ(5月竣工予定)をつくっている経験も含めて、ぼくらが培ってきた力を日本…

茨城

人口30万人を超す都市がないのに、日本で11番目の人口を抱える県。小さい都市がひしめいている県である。先日はそのうちのひとつ古河市で開催されたマラソンに出てきた。天気がよい日で、風もやさしかった。小高い丘に生える木々、送電線の鉄塔、区画さ…

闇を含みこむ壁

熊本県八代市につくるサロン&カフェの大壁実験。万物の源である、土の中を想起させるように。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← 五感に働きかける店舗内装デザイン:マテリアルス← 未来の町並みをつくるファサードデザイン:GFファ…

モノから始める

つくりたいイメージが先行するか、素材としてのモノが先行するか。厳密にいえば、どちらともいえないけれど、イメージが先行すると考えている人が多いのではないか、と思う。つくりたい空間を究めようとすればするほど、モノの持つ力を空間の中に欲しくなる…

安定感

マラソンを走るときは、前を走る誰かを勝手にライバルにしてしまって、追いついたり、ついていったりすることにしている。そのときに、女性を選ぶことが多い。女性にはひたすらイーブンペースで走り続ける人が多いからだ。それに比べると、男性は速く走った…

3人

陽向を保育所で預かってもらい、妻と二人でマラソンに出場した。陽向には、「ヨーイドン」に行ってくると伝えた。完走して迎えにゆくと、陽向は少しすねている様子で、足を何度もバタバタしてみせる。「陽向もヨーイドンしたい?」と訊くと「ウン」とうなづく…

集める

京都で学生だった頃、バー白樺の友達の若きっちゃん(若吉)から土曜日に電話がかかってきた。「田中くん、あした空いてへんか?」このニュートラルな質問にイエスと答えてしまったがために、ぼくは日曜日、コエタゴを洗わされることになる。当時、若きっち…

映画 小説家を見つけたら

2000年。ガス・ヴァン・サント監督。「〜したら」のような邦題は嫌いだ。原題「finding〜」に副っていない訳ではないが、間の抜けた、軽い感じが心地よくない。優れた小説家に学校の権威は必要ないだろう、と言ってしまうと映画が成り立たなくなる、芯の…

かたちあるもの

かたちあるもの、の力を借りる。ぼくらが一からつくるものだけでは、空間に何かが足りない、と感じるときがある。そんなとき、かたちあるものを空間の一部に取り込むことで、充たされるのを感じることがある。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッド…

転校生

ぼくは小学校や高校時代に何度か転校を経験している。実は、転校生であることは、とても居心地のよいことだった。ぼくにとって、転校生であることは、コミュニティの周縁に存在することだったのだろう。転校生の自由、というものがあったかもしれない。 ← 創…

記憶

そろそろ、だ。陽向の記憶のことだ。ぼくは、4歳くらいのことを今も少々思い出すことができる。それ以前は無理だ。彼も、今から起こることのいくつかを一生の記憶として脳に刻むことになるだろう。それがどれなのか、ぼくらには予想すらできない。脳は、ど…

中央と周縁

ぼくには常に周縁にいたいという欲求がある。周縁には、中央のシステムの規制が十分に行き届かないところがあり、システムの良い部分を選択的に受け入れられる自由があるからだ。自分で会社を興すことになろうとは、全く希望も予想もしていなかった。なぜな…

富士急ハイランド

機関車トーマスに夢中な陽向を富士急ハイランドの中にあるトーマスランドへ連れて行った。トーマスランドは、いたって穏やかで平和な世界だったが、驚いたのはその外にある過激な世界だ。何種類もあるジェットコースターは乗っている人を振り落とさんばかり…

映画 メランコリア

2011年。デンマーク。ラース・フォン・トリアー監督。惑星メランコリアが地球に衝突し、地球は滅亡を迎える。メランコリア=うつ病。うつ病とはつまり、この映画のようなものなのだろうな、と理解できたことは収穫だった。がんばろうと、がんばるまいと…

ハウツー

今までグリッドフレームについて書いてきたものを、まとめる機会があって、加筆修正を加えた。改めて気付いたのは、ぼくはコンセプトについては書けるけれど、それを実践する方法については、淡白な文章をさらりと書く以外に能がない、ということだ。ハウツ…

ユーコン河

極寒の地方を流れる川は、ぼくらの知る川とは著しく異なるだろう。20年以上前に訪れたアラスカのほぼ中央を横切るユーコン河のことを考えている。とはいえ、ぼくの知っているユーコン河は2月から3月の、カチカチに凍りついた川の上に雪が積もって、点々…

牝鹿

「ヘッドライトの中に入った牝鹿はヘッドライトの外に出ることを知らない。」(森敦『意味の変容』)車から必死に逃げるが、ヘッドライトの外へ出ると、今度は暗闇を怖れるのか、すぐに舞い戻る、という。生きることを求めて光に向かい、光の世界で何かを体…

paradise

戦争は果てしなく続いていた。国境の広大な原生林では、もう戦闘はすっかり日常的なものになり、皆、死を賭けているという感覚すら失っているようにも見えた。それもそのはずで、ぼくら兵士たちが生まれた年には、すでに戦争は始まっていたのだ。平和な時代…

自然が絵を描く

浸透圧により液体を吸い上げていくのを2日ほど放置して、グラデーションの効果とランダムなラインが布地に描かれた。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← 五感に働きかける店舗内装デザイン:マテリアルス← 未来の町並みをつくるファ…

映画 告発

1995年。アメリカ。アルカトラズ刑務所における囚人虐待を告発した実話に基づいた映画。ふりかかる暴力に対し、ぼくたちには二つの反応以外にない。抗するか、それとも、屈するか。特に、圧倒的に不利な状況下においては、どちらを選ぶかは、死を覚悟で…