gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2011.4

偶然と必然

「いちばん怖かった体験は?」自分が海外を旅していた時期があることを知って、その人はこんな質問をしてくる。タンザニアで警官に銃で殴りかかられたり、モンゴルの草原を自転車で旅して野犬に追いかけられたり、中国の公安に拘束されたり、ボルネオ島でバ…

祖父の顔

陽向にひと月くらい前に教えたことを、彼はずっとできないままで、そのうち教えたことも忘れてしまっていたら・・・、今日突然それをやってのけて、私の顔を覗き込むように微笑した陽向。その微笑んだ瞬間が突然大人びて見えて、一瞬誰かの顔を思い出した。誰の…

GF座談会

昨日、グリッドフレームスタッフ全員で7時間に亘る座談会を行った。現在、HPにアップするための準備中だが、話し合うことによって、震災後の新しい一歩を全員で踏み出すことができたような気がする。他の業界と同じく、店舗空間をつくるという作業も、徹…

がれき

例えば、一面に広がるがれきは、どこをとっても「がれき」と呼ばれる無秩序なものの集合に過ぎない。しかし、それらはすべて、元はある家族や会社に属しており、それぞれの人間の生活がしみついているはずである。本来は、がれきという名前で括られるべきも…

バトンを渡すこと

ひとつのものを大勢でつくるとき、つくることに携わった全ての人が「自分がそれをつくった」と感じられるためには、主体という名のバトンを次の人へ確実に渡さなければならないだろう。確実に渡すとは、決定権を委ねる、ということである。それをあいまいに…

花模様の光

カフェ・ジュリアトライベッカでお昼を食べた帰りに、用賀駅へ向かって、咲き乱れるハナミズキを横目に歩いていると、壁に大きな花模様の光を見つけた。傾いた陽光が、カーブミラーの裏に反射してできた光だった。

動物園2

以前からcage(檻)/stage(舞台)というコンセプトで様々な空間をつくってきた。ADMJの社長室とショールームの関係は、その代表的なものである。 http://www.gridframe.co.jp/x02admj.htmcageとは強制的に見られる場であり、stageとは意図的に見られる場で…

動物園

犬や猫がいると興味を示すようになってきた陽向を見て、そろそろ絵本の中の動物の本物を見た方がよいかな、と思い、家族3人で上野動物園へ行ってきた。陽向はコントラストの強い、トラ、キリン、シマウマ、フラミンゴ、パンダなどには興奮気味に反応してい…

amusement cafe / blue cherry

吉祥寺のカフェblue cherryが完成した。サイトの断面のかたちが特徴的で、さすがはバブル期に建てられたビルである。シャープで未来的である。空間を構想する前から、サイトが要求するかたちがビンビン伝わってくる。バブル期の建物は実に雄弁だ。トラス光天…

ハナミズキ、咲く

青山オフィスのハナミズキが咲いた。6年前に数十の花をつけた鉢を購入して以来、そのときの花の数を超えることが一度もなかった。だが、今年の花は100をゆうに超えた。植物はストレートに私たちにエネルギーを与えてくれる。そのために咲いてくれている…

柔道の眼

柔道をやめてから30年近くになる。だが、最近気づいたことだが、私は無意識の内に目の前にいる人を観察しては、柔道をやったら勝てるだろうか?と想像することを繰り返していることに気づいた。そういえば、柔道をやっている頃は、試合前に相手を観察する…

美容室 laissez(レセ)

流山市の美容室。アジア熱帯地方のスコールをキーワードとした。暑い一日の終わりに、さわやかさをもたらすスコール。雨宿りは、休息の時。

災害ユートピア

柄谷行人のサイトの書評を読んでいたら、震災のすぐ前に「災害ユートピア」という本について書いていた。『人々は自然状態では互いに敵対するというホッブズの政治哲学が、今も支配的である。だが、それは国家的秩序を正当化するための理論にすぎない。災害…

反射神経の鈍さを生かす

お笑い芸人にも、漫才はおもしろいが、バラエティはつまらない、というタイプがいる。お笑いブームは長く続いているようだが、今、もてはやされている芸人は、バラエティを得意とするタイプの方だろう。つまり、反射神経のよい人たちだ。ネットでも、2ちゃん…

桜散る道

桜に混じって赤い花桃が咲き、花弁が道の端に吹き溜まる。どちらも同じバラ科の植物で、花弁のかたちがよく似ている。桜が散ったこの頃、今度は地面が桜色に染まる。

映画 萌の朱雀

1996年。河瀬直美監督作品。過疎の山村。鉄道の工事が途中で中止になり、村は消えていき、家族は崩れてゆく。絶望し自殺した父親が撮った村の風景、そして、村人の顔、顔、顔・・・。そこには、都会で人の目を意識しながら生きてきた人たちとは、明らかに違…

post 311 project in gridframe

グリッドフレーム スタッフ各位お疲れさまです。田中です。プロジェクトは、それぞれよい出来に仕上がっていると思います。それぞれが、それぞれの立場で、いつもよい仕事をしてくれているからこそ、次の仕事につながっています。そのことをいつも感謝してい…

つる日々草

毎年、この時季に花を咲かすつる日々草。ただ水をやり続けるだけで、一つの鉢の中で毎年新しい芽が育ってくれて、気づかぬうちに花を咲かせてはさわやかな風を感じさせてくれる。途中から5枚に分かれている花弁は写真のように扇風機の羽のように方向性を持…

リセット

3月11日をリセットの日としようと思う。リセットするとはどういうことか。余震はなおも続いている。誰かの喪に服している人が、亡くなることだってあるだろう。誰も死から遠くにいるわけではない。もちろん、私たちも含めて。ゆるぎない同じことの繰り返…

人は浪費する生き物だ

人は自分が持って生まれた命を燃やすために生きているのだと思う。命を燃やす場がなくなれば、くすぶりやがては爆発する。そんな生き物だ。エネルギーを小出しにすることなんかできない。例えば、電力を節約することはできても、自分のエネルギーは節約でき…

吉祥寺 blue cherryの光天井

吉祥寺のカフェblue cherryの光天井が完成した。縦横の梁が同じ高さでクロスしているので、どうしてもトラスをその高さで揃えたいという欲求に駆られたのだ。天井面に約70個のLED電球を設置している。120㎡の天井全体を光らせて、消費電力はたったの…

映画 ノー・マンズ・ランド

ユーゴスラビア紛争はまだつい最近の出来事という印象がある。そこで起こったたくさんの戦争の中のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が舞台となっている。民族の争いが、現代においてもここまでエスカレートしてしまうのはなぜだろう。映画の中のムスリム人とセ…

知らぬ間に桜が満開だ。今年はきっと特にそんな人が多いだろう。今をどうするかに必死になって、絶望して、うつむいて、・・・ふっと顔を上げたら、目の前に一面の桜色。桜とは、希望だろうか。

隠れた習性

ドイツ・ライプチヒの有料トイレの男子用小便器はきれいなことで有名らしい。それは、小便器にハエの絵が焼き付けられていて、誰もがそれを的として狙って用を足すために汚れないのだという。トイレの業界では有名な話らしい。・・・確かに自分も狙うだろうなあ…

atelier103の看板

何度も書いているが、震災以来、使えるLED器具を探して、その応用方法を追求している。この看板のライトはLEDを使用している。蛍光灯は明るさと長さが比例しているために、幅が短いものの中に収める場合は十分な明るさのものがない。LEDにはそのよ…

曲面ビニール

夜、最近できたばかりのビルの前を通ると、思わず「ウオ〜!」と声を上げた。ガラス越しに打ち寄せる大波のような曲面を描くビニールの仕切り。養生のためのビニールが室内側の排気設備に引っ張られて、このようなかたちになったのでした。こういうのを見る…

到達点

家の中で家族3人で笑い合っていると、幸福という意味で人生の頂点にいるのかもしれない、と思うことがある。子供の頃、家族4人で笑い合った頃を思い出しながら。神がいるとすれば、「そうだ、ここが到達点だ」と言われるかもしれない。それはそれで笑って…

明治維新

地震の起こる前から「翔ぶが如く」を読んでいた。言わずと知れた、司馬遼太郎が明治維新の西南戦争を中心に書いた小説である。数日前、日本にとって今回の震災は、明治維新・太平洋戦争敗戦に次ぐ「3回目のリセット」とあるレポートで書かれていた、と書い…

想像力について

村上龍がRVRで、震災直後、「被害を受けた人のことを考えれば、電車が動かなくて長時間並ぶことくらいどうってことない」と言いながら駅のホームで整然と並んでいる首都圏の人のインタビューコメントを「その想像力がすばらしい」と言っていた。大多数が…

Atelier103

外苑前のAtelier103の改装が完了した。フィッティングルームのカーテンポールを重量感のあるデザインにすることにより、全体が引き締まった。オーナーは、これからも空間を更新し続けながら、感覚を研ぎ澄ませていかれるだろう。