gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2010.7

小さな会社の理想型

小さな会社が一流と認められるためには、大きく分けて二つのタイプがあると思う。一つは、最初にルールありきの組織。ルールをきっちりと決めて、全員がそれに従って動く。もう一つは、最初に個人ありきの組織。集まった人間がそれぞれの得意を生かして、そ…

アピール

秋葉原無差別殺傷事件の加藤被告が、「アピール」のためにやった、と供述した。自分にひどい仕打ちをした(その判断基準はもちろん彼の中にある)人間に反省を促すために、次から次に無差別に人を殺したという。被害者側の人はたまったものではない。だが、そ…

モンゴルの草原で出会った少女

夏の日にモンゴルの草原を自転車で旅したときのこと。朝走り出したときは舗装された道だったのが、途中でダートになり、最後には道自体がなくなって、草原を走った。しばらくは、走れる状態だったが、だんだんと草の量が減っていき、とうとう砂の上を走るこ…

暑い夏

暑い日が続いている。このくらい暑い日が続くと、外へ出るときに気合が必要になる。ちょっと大げさかもしれないが、戦っている気持ちで歩いている。「暑い」などと呟いてしまおうものなら、もう負け犬である。喉から出かかった呟きを呑み込んで、口を一文字…

エミリオ・アンバース

建築に興味を持ち始めた頃に、エミリオ・アンバースを知った。地面と建物が、連続かつ微分可能なラインによってつながれている、という在り方に夢を感じた。自分とは関係の薄い建物で世の中は溢れている。自分の居場所は、どこにいても実はとても少ないので…

陽の照りながら雨の降る

午後、上野毛辺りを歩いていたら、久しぶりの天気雨に見舞われた。天気雨の思い出はいつも夏だ。そういえば、雹が降った思い出も、ひどい雷の思い出も、台風の思い出も、全部、夏の思い出だ。coccoに「陽の照りながら雨の降る」という歌がある。http://www.y…

赤ん坊のあやし方

週末は、妻と一緒に、陽向と遊ぶのが半分、仕事をするのが半分、というのがパターン化している。計画通り仕事を進めつつ、子守をするのは未だに至難の業だが、約5ヶ月が過ぎて、学んだことも多い。現在、家の中で陽向が過ごせる場所は、3箇所。遊びや食事…

高校野球の監督

今年も夏の高校野球の季節である。この時期は、毎日100試合以上が全国で行われていて、つまり、毎日100校以上が大会から姿を消していく。さて、高校野球なのに、高校生ではない人がどのチームにも一人いる。監督である。敗退したチームの監督の言葉が…

向こう側にあるもの

壊れやすく見えるものが、実は何よりも丈夫だったり、逆に、表面的には、丈夫に見えるものが、実は何よりも脆かったりすることがある。その逆説があるからこそ、この世には両方が存在し続けるのだろう。目の前に見えるものの向こうに、何を透かし見るか?ど…

TOKYO STYLE

空間のデザインを練るときに、ときおり散歩に出るような気分でこの本を開く。漠然となにかのヒントを探すとき、散歩に出る。外の世界が、自分のためになにかを用意しているわけもない。「そのまんま」であることのありがたさ。そんなありがたさがこの本には…

アンゼルム・キーファー

キーファーの作品には、砂・藁・鉛などの損傷しやすい材料が多用されている。その思い切りのよさが第一印象だ。まるで泥遊びをする子供のような・・・、いや、紛れもなく、大人の泥遊びの作品とも言える。美術館は、その保存に四苦八苦するだろうが、アートとは…

関西空港へ向かう電車から

逆光の写真が好きだ。見慣れたものや、何の変哲もないものが、全く違う様相を呈するからである。いい意味で、自分の安定感を壊してくれる。そんな心持ちの私を乗せて、飛行機はアメリカへ向かった。

サーキットの狼

小学生の頃、漫画「サーキットの狼」に夢中になった。当時の大多数の子供が、この漫画によって、スポーツカーに憧れた。地方都市に住んでいたから、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェに出会えることはほとんどなかった。そのような車を見かけて、写真でも…

一番やりたいこと

村上龍とJMM寄稿者との対談の動画を観た。 自分が一番やりたいことを仕事にできることは幸せだ。だが、一番やりたいことは、どうしたら見つけられるんだろう?結局、一番やりたいことに出会うのは、事故のようなもので、そもそも探し方なんてない。だから…

寝返り

陽向は生後4ヶ月半。このところ、ベッドでほったらかしにしておいても、ぐずらずに何かやっているなあ、と思ったら、ひとりで寝返りの練習をしていたことが判明。3日前は、どうしてもうつ伏せまでいけなかったのだが、一昨日、保育園で成功したというお知…

夏の雲

神奈川・藤沢へ行く用事があって、久しぶりに東海道線に乗った。青い空の向こうに積乱雲が鮮やかだった。今年も夏がやってきた。

コンペ形式に対する疑問

空間の提案を複数の設計会社に依頼するクライアントがいる。そして、それを、コンペ形式と呼ぶ人がいる。しかし、コンペとは普通、その業界の実力者が審査員となり、結果が公開され、1等になることは、名誉につながるような場合に使われる言葉である。賞金も…

美学2

例えば、「高倉健には男の美学が感じられる」というせりふがすんなり通るように、「美学」という言葉には昭和までの時代が似合う。平成の時代になって、「美学」という言葉は、一般的に交わされる会話から消え去っていったような気がする。自分にとっての美…

美学

「美学がある人が好きです」最近、お会いしたクライアントの言葉である。自分には美学があるか?また、私たちグリッドフレームには美学があるか?今の時代を生きる私たちにとって、重要な問いであることを教えられた。

映画 ジュリア

幼馴染のジュリアとリリアン。貴族に生まれ、明晰な頭脳と美しい容姿を持ちながら、労働者階級の味方となり、反体制の闘士として戦うジュリア。そんなジュリアを慕いながら、物欲や名誉欲を持った自分の凡庸さに劣等感を抱くリリアン。戯曲家として成功した…

内部は境界を含まない

森敦は「意味の変容」の中で、内部・外部の境界は、もっぱら外部に含まれていて、内部は境界を含まない、としている。だから、例えば、会社の大小は、外部からのみ言えることであって、内部から見れば、どの世界も無限である、と書いてある。小さな会社をや…

映画 愛を読む人

「読み聞かせてもらうこと」と「読むこと」はどのように違うだろうか。読み聞かせてもらった思い出は、母が唄う子守唄の記憶に重なっていく。まだ、読むことを知らない幼児が母に絵本を読んでもらうことが「読み聞かせ」の原風景であろう。その声は、私を包み込…

フェアであること

今朝、妻が早朝から出かけて、陽向の世話を引き受けることになった。朝の身支度を陽向が起きるよりも先に終わらせようと急いだが、陽向が計算外に早く目覚めてしまった。最初は機嫌よくしていたが、そのうちに退屈して泣き始めた。なだめるにもまだ自分の支…

Atelier103

外苑西通に面するセレクトショップ。築50年以上の秀和レジデンスのスケルトン状態をできる限り活かして廃墟空間を実現した。廃墟とは、意味を失った空間であり、それゆえにあらゆる方向からの見方を許容する「豊か」な空間である。床を壊したとき、過去の工…

ここで会ったが百年目

昨日のブログに書いたチュニジアの旅行会社のオヤジのように、出会ったときから自分だけに対する相手の悪意を感じ取ってしまうことが、そういえば人生の中で何度かあったような気がする。まさに天敵に出会ったような感じだ。そのような人間に出会うと、前世…

公然と差別される

1994年、チュニジアを旅したとき。砂漠を旅行するツアーの料金を調べに、道連れのフランス人たちと、地元の旅行会社へ入った。料金表を見せてもらって唖然とした。私たちはランク分けされていた。上から料金の安い順。つまり、歓迎されている順。Aグル…

かえで

かえでの枝は、平面的に小枝を伸ばす。だから、葉っぱは平面状に広がる。その平面がレイヤーを成して、平行に何層も重なり合う姿は、重なり合うレイヤーによって奥行きを表現する日本独特の空間構成を思わせる。まさに、日本の美を象徴する樹木である。

地方の風景

どちらへ向けて走ってもいい。東京から車で1時間も行くと、地方と呼ばれる場所に至る。東京で暮らすと、日本の大部分は地方と呼ばれる場所であることを忘れてしまいそうになるときがあるが、私も地方と呼ばれる場所の出身である。私が好む好まぬに関わらず…

蛍を見に行った。ここ数年、この時期には必ず蛍を見に行く。昨年は、妻のお腹の中の生命の鼓動と蛍の点滅が重なって見えた。ずいぶん繊細で儚いものに思えて、その点滅が消えないことを心から祈った。今年は、そのときの繊細で、ともすれば消えてしまいそう…

映画 スラムドッグ$ミリオネア

スラムの地を這うような無数の屋根を見ると、創造の原点を感じる。手に入るもので住まいをつくる人たちのエネルギーが好きだ。そんなことを言っていられるのは、私がスラムの住民ではないからかもしれない。だが、好きなものを好きという自由はある。同じよ…