gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2009.8

台風と傘

人々の傘がどんどん壊れていく。これが台風の日の、街の風景である。傘って、こんなに簡単に壊れるものだったっけ?いや、明らかに壊れやすい傘が売られている、に違いない。どんどん買い換えてもらうために、壊れやすくしているのである。安い傘だから仕方…

居酒屋 慕聘己庵(Bohemian)

ボヘミアンとは、流浪の民、世間一般の規範の外で自由に生きる人のことを言う。オーナーのコンセプト(愛・自由・真実・美)がこの店名に詰まっている。長い旅路の後、ある街にたどり着いたボヘミアンたちが、無人のビルの機械室の壁を壊して中に忍び込み、…

既得権益を崩すこと

地元の酒屋がコンビニに変わっていく姿を見ながら、これが既得権益を崩した結果なのだろうか、と首を傾げている人は多いと思う。酒を扱えるのは酒屋だけだった時代の方が個性ある酒屋がたくさんあったではないか、と。酒を売る権利を「いい酒を売る責任」と…

78:22

ジョージ秋山の「浮浪雲」に78:22の不思議について書いてある。地球上の海と陸の面積比、78:22。 空気の窒素と酸素の体積比、78:22。 人の体内の水分とそれ以外の重量比、78:22。 正方形に内接する円の面積と残りの面積の比、78:22…

リチャード・アベドン

リチャード・アベドンが撮るのは人物である。モデルや俳優を撮ったものも多い。彼がどんな人なのか、私が知っているのはそれくらいである。だから、15年前どうして彼の写真集を買ったのか、理由は覚えていない。ただ、自分の部屋で、彼の撮った一枚の写真…

森敦 「意味の変容」1

森敦の「意味の変容」は、私が人生の中で最も読み返した回数の多い本である。おそらく50回は読んでいる。一つの理由としては、字が大きく、ページ数が少ないということがある。そうでなければ、こんなにも多く読み返すことはできなかったであろう。初めて…

デンマークの彩度

写真はデンマークを150キロ歩いているときに撮ったもの。びっくりするような高彩度である。原色の黄色とレンガ色の屋根。なんて美しいんだろう。極めつけは、青の原色。空の色。絵の具のチューブからそのまま出てきたような色で風景が成り立っている。そして…

おみくじ

私の机には、豊川稲荷でひいたおみくじが貼ってある。もちろん、「大吉」である。大吉でなければ貼る意味がない。もうずいぶん前のものであるが、効力は失われていない。なぜなら、それを見ると神様は自分についてる、と思えるからである。だから、それ以来…

日本の唄

「トシ、日本の唄を歌ってくれ」と先生に言われて、アジアで流行ったと聞いたことがあった「昴」を歌った。大学時代にタイを旅したときのこと。コンケーン大学にふらっと遊びに行ったら、小さな村に小さなダムをつくる学生のボランティア活動に参加することに…

巨樹の最期

老木のことを考えていた。山形県のある森にある巨樹のことだ。すでに何百年も生きてきた。老木は横へ伸びる太い枝を支えるには限界のときを迎えていた。秋が来て、そして冬が近づいてくると、枝についた葉をすべて振り落とさねばならない。葉が残って、そこ…

イチロー

「投手が球を投げてから、僕のところに来るまで時間がある。そこでいろんなことを考えて、(打撃を)変えられる。待っている球が来ないからって、打てないわけではない」イチローの言葉は、ときに科学雑誌に取り上げられてもおかしくないような内容だったり…

夏休みの宿題

小学生のころ、夏休みもこの時期になると宿題のプレッシャーが重くのしかかってきていた。そして、いつも最終日まで宿題をやっていた。そんな子供だったから、中学生の冬休みに宿題を最初の3日で終えたときには随分誇らしげだった。それから新学期まで、悠…

キリマンジャロ

キリマンジャロは実は頂上へたどり着けなかった。5690mのギルマンズポイントで疲れて体が動かなくなってしまい、断念。ウフルピーク(5895m)はすぐそこだった。悔しくて泣いたのを憶えている。今更ながら申し訳なく思うのは、一緒に登ったゴンさ…

高級

「高級な素材を使ってください」とか、「高級な仕上げにしてください」とか、クライアントに言われることがある。私は「高級」という言葉が苦手だ。その言葉が醸し出すイメージは画一的で、クリエイティブな姿勢にそぐわない気がするからである。優れたアー…

消しゴム

子供の頃から、鉛筆と消しゴムが揃わなければ勉強を始めることができなかった。鉛筆で書き損じたときのことを想像すると、落ち着かないからである。消しゴムを握ると気持ちがすうっと落ち着いた。これから数時間、ここに座り続けている自分を想像できること…

閉店セール

仕事で池袋に行く機会が増えている。いつも通る靴屋は、つい最近まで閉店セールをやっていたと思ったら、今は決算セールである。元々、資本力のある大型チェーン店だから、「閉店」という言葉自体、疑わしかったが、案の定である。でも、これってやっていい…

日溜り

私の部屋の窓から見える木々は、朝の光の中に鮮やかに浮かび上がり、葉の一枚一枚が自らを表現しようとしているかのようにキラキラと光を反射しては、その生命力を認めさせずにはおきません。しかし、やがて太陽が高く昇るとともに、次第に遠近感を失い、夕…

思い切り手を伸ばしてダチョウにスナック菓子をあげた

夢の中の話。腹をすかした瀕死のダチョウに出会う。手元にあったスナック菓子を口に近づけたら、食べ始め、命をとりとめる。緑の草原で、ダチョウに再会。思い切り手を伸ばして、ダチョウにスナック菓子をあげる。ダチョウに「水臭いじゃないか、そんなに手…

思いがけないところに・・・

山の向こうに海が見える。その海に夕日が沈んでいく。そういう写真・・・ではない。実は、無印良品のプラスチックの引出しの中に入っているものが、そんなふうに見えただけ。ぼーっと眺めていたら、風景がそこに見えてくる。なんとなくラッキーな気持ちになる。

ココロガマエ

すべての悲惨や不幸は、より大いなる善へ導くものとして、さもなければその犠牲者が全く正当に受けるいわれのある適正な罰として、見なされなければならない。キリスト教が主張するこのような世界の倫理的な適正さこそ、まさに悲劇が否定するところのもので…

漢字の読み間違えについて

また麻生首相が漢字を読み間違えた、ということがニュースになった。その記事は誰のために書かれたのだろうか。意図はなんだろう?一国の首相が、簡単な漢字を読み間違えることは、そんなにけしからんことなのだろうか。元々、漢字の読みは多数決の原理で決…

ピレネーの屋根裏部屋

スペインでの夏期講習が終わると、学生たちはそれぞれが行きたい場所へ散っていった。私はとりあえずフランスへ向かった。やらねばならないことがあった。修士論文の第2章を仕上げること。だから、書くための場所を探した。スペインとフランスの国境にはピ…

歩くイス

工場へ行ったら、アルバイトのY君が遊びでつくったイスが置いてあった。残材でつくった実験的なもの。雑談のとき、スタッフ003がそれに座っていて、「なんか好きかもしれない、オレ」といいながら、イスにすわってイスごと動いている。聞き捨てならん、…

東南アジア最高峰の頂上にて

日付を見ると20年前である。ボルネオ島へ乗馬の練習をしたいと思って旅したら、そこに東南アジア最高峰のキナバル山があることが分かり、登ってみた。海抜4101m。この写真を撮ってくれた人が誰なのか、思い出せない。一人で登ったから、きっと頂上で…

1クリックの重み

パソコンが急速に普及し始めてから10数年になる。ネットショップでものを購入することが当たり前の世の中になったが、例えば、私の両親などは、ネットでは決してものを買わない。もちろん、パソコンについての知識にも差があるだろうが、それだけではない…

エチゼンクラゲの紹介

最近、大量発生で話題になるエチゼンクラゲ。直径2mにもなる世界最大級のこのクラゲが中国で大量に繁殖し、海流に乗って日本海に流されるうちに成長し、漁師の網にたくさんかかり、魚が捕れないことが問題になっている。最近のテレビのニュースでこのこと…

大阪の小料理屋

グリッドフレームの過去のスタッフUと大阪で再会。たまたま入った小料理屋。遅い時間だったから客は自分たち二人だけ。あの頃は大変だったね、という話をしていたら、ご主人が吉本芸人のようにちゃちゃを入れてくる。いやあ、よくしゃべる。笑わせることが…

花火

小学生の頃、祭りといえば花火大会だった。夕暮れ時、家族4人で田んぼ道を30分ほど歩いて、宝満川の河川敷へ。ビニールを広げて、草むらにすわりこむ。周囲もたくさんの親子連れ。知っている顔もたくさん見える。りんご飴、焼きもろこし、金魚すくいなど…

砂浜で夜明けのコーヒー

大学時代、深夜ふと思いついて、同級生Sと二人でボロ車に乗って京都を出発した。野郎二人の深夜ドライブである。目指すは海だ。どこの海というわけではない。車に積んだのは、サイフォンとアルコールランプとマッチ一箱。そして、お気に入りのコーヒー豆と…