gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

プロジェクト

パンチングメタル

空間

他人の設計した空間の施工見積をとっている。設計した人の意識が見えてくる。それをどのようにこの空間で過ごす人の感動に結びつけるか?結局、この作業も設計である。通常の仕事も、クライアントの意識を読むことから始まる。基本設計から始めることと、違…

遠くの風景

ぼくには関係のない世界として見えていた遠くの風景が、すぐ近くにかけがえのない世界として感じられることの驚き。(つづく)

スペインの風景

スペインでは車を洗わない、と聞いたのはもう30年前のことだホコリ被った車が、車体をガタガタ揺らしながら、狭い石畳を走るそれが、浮かんだ最初のスペインの風景だ 同じころ、「車は走るためのもので、洗うものではない」という飲み屋の常連の言葉にうなづ…

生きる混沌 2

取り換え可能なものと、取り換え不可能なもの。いや、とりかえ自由な世界と、とりかえのきかない世界。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しながらつくるオリジナル素材による店舗デザイン:マテリアルス実験工場

海を写し取る

ぼくらが海染(うみぞめ)と呼んでいる素材のつくり方がある。 海へ行って、写真を撮ることに似ているが、カメラはいらない。 鉄の板を、ある日時、ある場所の一瞬の海につけると同時に引き上げて、波のカタチを写し取る。 錆としてカタチが浮かび上がるまで、…

生きる混沌 1

「一般性−特殊性」の回路はすなわち俗世であり、そこからかけがえのなさは出てこない。俗世は、取り換え可能な世界である。一方、「単独性−普遍性」の回路は、かけがえのなさ、実存を問題とする。つまり、それぞれを比較する、という視点がここにはない。あ…

どこかにある風景

メディアが発達したことで、直接見たことはないかもしれないが、写真や映像では見たことのある風景が溢れている。ぼくぐらいの歳になると、実際に見たか、見ていないかの境界も曖昧になっている。 写真を見て、「ここ、行ってみたいなあ」という気持ちが湧い…

柔らかな道

人の動きを感じ取り、 自分が動く まっすぐに伸びる刃物のように 心を研ぎ澄ませ、 少しの揺らぎも見逃さぬように そして、 変化を感じ取った瞬間に 体が如何様にも動くように 重心は低く、 軸はぶれず、 浮いているかのように移動する そのように在ることが…

交換すること

何かを手に入れるために、お金で買う以外の方法をなかなか思いつかないけれど、SOTOCHIKU素材は「交換する」ことで手に入れられるはずだ。ぼくらは風化して古くなったものを素材として使いたいと思っているし、ほとんどの持ち主は風化して古くなったものを新…

海染の錆

波のカタチが刻印された海染鉄板の錆が止まっていないことが分かり、塗装のやり直しをすることにした。一瞬浸しただけなのに。海水の力は強力だ。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しながらつくるオリジナル素材による…

HIROMAS HOSTEL in Yokohama

撮影:ヒロマスお話をいただいてから、7か月。ようやくHIROMAS HOSTEL in Yokohamaが完工した。ここに泊まれてよかった、と思っていただけるような空間になっている、と信じる。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しなが…

レスポンシブ

小さなころから柔道を始めて、栄養士になる勉強を経て、料理人になった方にお話を伺う機会があった。料理は、お客さんの状態に応じてつくる。お客さんと言葉を交わしながら、状態を探るのだ。まるで、柔道のようだ。相手の動きに応じて、相手の状態を捉えて…

現場作業

横浜中華街のHIROMAS HOSTELが最終局面を迎えている。先週末から、ぼくも現場へ出て、作業をしている。ぼくの問題は、脚立作業が苦手で、慣れないと平衡感覚を失って、気分が悪くなってしまうことだ。過去の経験では、その後で座り込んで動けなくなってしま…

探しもの

見つけなければならないものが、他人に属するものであり、なおかつ、買えるものではなかった場合、それを手に入れるには気の遠くなるような道のりを要する。ぼくが直面している問題だ。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実…

横浜中華街

横浜中華街のHIROMAS HOSTELでベンチをつくってきた。(つづく) ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しながらつくるオリジナル素材による店舗デザイン:マテリアルス実験工場

お役所的

20年店舗空間をつくる仕事をしていて、初めて消防検査を拒否された。いつもはオープンできる状態で見てもらうのだが、今回はオープン日程の都合で、営業許可証を工事終了とともに出してもらうために、工事途中での検査を依頼した。特別に工事途中での検査…

かまど屋さん

かまどを3代に亘ってつくり続けていらっしゃる、かまど屋さんを訪れた。3代目は、ご兄弟2人だ。謙虚で、まっすぐな仕事をされることが、その佇まいから伝わる。薪を焚く、という古代からの営みが、あらゆるハイテクな手段とも違う味をつくりあげるらしい…

ソトチクのファサード

Pizzaria da MARCOのファサード計画を、SOTOCHIKUの視点で進めている。時間をいかに包含するか?毎日の生活の繰り返しの中に、どれだけ人の心を動かす発見を入れ込めるか?強い磁場があれば、その亜周辺に位置取り、自由に本質を発展させていく。そんなバラ…

土を持ち込む

ぼくが実現したいのは、「これは捨てられて、忘れ去られたものですよね」と後ろめたさを感じるようなものを空間の中に持ち込むことだ。したがって、外に在った土を持ち込めばソトチクということにはならない。例えば、「北の国から」というドラマがあった。…

海染め2

現在施工中の横浜ホステルに取り付けるための鉄板に波の跡をつけるため、海へ行った。前回は2〜3時間浜辺に放置して何度か大きな波を受けるような設定だったが、今回は1度だけの波を受けさせて波のかたちを付けることを試みた。膝の深さの海へ入って、波が…

2階の店

歩行者から気づいてもらえないために苦戦している2階のお店はたくさんある。旗など、動くもので気づいてもらうようにするのは有効だけれど、その際に大事なのは、旗のデザインとお店の醸し出したい雰囲気がリンクしていることである。お客さんは、いつもお…

採光窓

明るい窓がある部屋が心地よいのは、誰が想像しても分かる。しかし、一定の窓の面積がないと、宿泊施設がつくれない、というのはどうだろう。宿泊施設の主な用途は、そこで寝ることなので、夜になってからそこを訪れる人も多いはずだ。それに、よい眠りに、…

内装に石を使うことは、自分たちで加工を自由自在にできないという意味で、積極的にはやってこなかった。石の代わりに、コンクリートや表面の質感の似ているボードを使ったりしてきた。(つづく)

表を通る人がいなくなって この店の灯りがすっかり消えてしまっても 窯の火は消えない 眠りについた生物が息をするような 微かだけれど、確かなユラメキ そのユラメキが ぼくらの今日と明日をつなぐ 今日できなかったことを 明日できるようになりたい ぼくら…

詩としての建築

「詩としての建築」という本があった。ぼくが建築を学ぼうと思ったときに、本屋で最初に買った本のひとつだ。読み返そうとは思わないが、ぼくは空間づくりは、詩を喚起するものでなければ意味がない、ということから始めている。詩を空間化する力を手に入れ…

森と海のハザマ

銀座

ハイブリッドな街ではない。純粋に人工的だ。かつてからも、農村からの肥桶の往来がここにはなかったらしい。ぼくらのプロジェクトが成立しにくい土壌だ。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しながらつくるオリジナル素…

崖と砂浜と海と

ドイツのバルト海に面したNienhagenという小さな町の森の写真が、Windows10のロック画面に出てきて興味を持って、その町周辺の風景を探してみた。ぼくたちが求めている空間は、こういうものだ、と写真を見て思う。死が近いと感じるところに、己の生が輝く。…

Canning & Associates

Canning & Associatesのスクールとオフィスを六本木につくらせていただいた。グローバル人材を育成する会社だ。引渡し時にスタッフ全員が来られて、人をとても大事にする会社さまであることが伝わってきた。グリッドフレームのスタッフにも、このプロジェク…